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「雲に寄す」
街の上を一団の雲が流れている
葡萄色の色彩をしているから
たぶんオランダあたりからきたのであろう
[・・・・・]
雲よ
立ち上がる雲よ
ぶどういろの雲よ
いつもきょうの日のような
うつくしい雲であってくれ
(上村肇 「雲に寄す」から抜粋)
おしゃれな詩句です。長崎の空だから、オランダ渡りのワインカラーの朝焼け雲か夕焼け雲なのだろうと想像します。
(実際は中段[・・・・・]に「原爆雲」がくるシリアスな内容の詩なのですが・・・)
そんな葡萄色の雲の写真を撮ろうと淀川縁を散歩しながら思うのですが、なかなか「ぶどういろの雲」のシャッターチャンスには恵まれません。
昨日は、中之島中央公会堂で催された国際音楽祭(水都祭行事のひとつ)で、ラヴェルやドビュッシーなどの「水の精の音楽」と講演を聴きました。
ラヴェルの「オンディーヌ」は、透明度高く爽快な音楽。一方ドビュッシーの「ウンディーヌ」はドラスティックで、津波が押し寄せるような不気味な曲です。雲に例えれば「紫雲と暗雲」というところでしょうか。
ここは、今から62年前に、伊東静雄が「路上」(『反響』所収)という詩のなかで、次のように歌った場所でもあります。
[・・・・・]
そして向うに大川と堂島川がゆったりと流れている。
私もゆっくり歩いて行こうと思ふ
そして何ものかに祈らずにはをられない
―われに不眠の夜をあらしめよ
―光る繭の陶酔を恵めよ
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